まず最初に“SRS(性別適合手術)”って何?という人のために
コチラ👉 Wikipedia参照この記事はセクシャクマイノリティに関する内容を多く含みます。
ご理解のない方は退出をお願いします。
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では本題へどうぞ!
1.SRS(性別適合手術)を決めた理由【自分の体が嫌いだった】

私はFTMのため、体は女性で生まれてきた男です。私にとって女性の体を持つことは、かなりの抵抗感があり何にも変えがたい嫌悪感を抱いていました。
嫌になることはいくつかありますが、個人的に生きていくことに対し最も弊害だと感じたものを書いていきます。
1-1.自分の体が嫌いになる原因①
やはり「胸(おっぱい)」です。
私のようにFTMで自分の体を嫌う人の約8割は、同じ「胸」のことを嫌がります。たしかに「胸」は女性のシンボル的なものなので嫌になるのも仕方ありません。それを持ち合わせているだけで、“女性であると認識せざるを得ない”ですからね。
私はどちらかというと小太り気味なので、胸の大きさもそれなりにありました。なので、胸を目立たなくするには潰すしかなくナベシャツに頼っていました。
そのナベシャツでさえ潰すことはできても、体についてる脂肪のかたまりを無くすことはできないので、目立たなくするにしても大変でナベシャツを着ていても自然と背中が丸くなってしまったり、胸を張って歩くことはできませんでした。
それでも、ナベシャツを着ると着ないとでは雲泥の差があるので、15年以上は愛用させてもらっていました。
私の愛用していたナベシャツは👉ローゼス👈さんです!1-2.自分の体が嫌いになる原因②
女性特有のアレです。月に一度は来るもの(月経)です。
これは本当に避けようがありません。人によっては薬で止めるとかもするみたいですが、私は極度の薬嫌いなので止めるために薬を飲もうとは思いませんでした。
そのため私はどちらかというと症状が重い方なので薬を飲まずにその期間をやり過ごそうとすると、倦怠感や腹痛・腰痛・吐き気などに毎回襲われ1週間近くは体も気持ちも地獄のような感覚で過ごすようになります。
あまりの体調の悪さに壁を這って歩いたり、痛みのせいで睡眠不足になったり、一番酷かったときは仕事中でしたが痛みに耐えられなくてトイレに駆け込み気持ち悪くなり冷や汗が出始め意識が朦朧としだしたことがあります。
自分ではどうすることもできなかったので、心配して様子を見にきてくれた人(今のパートナー)に助けてもらいました。
そんなこともあり、毎回そんな状態になっては困るので本当に我慢できない痛みの時だけ、薬を飲むようにしました。
他にも、嫌だと思う所なんて外見や顔が女性っぽいとか声が高いなどコンプレックスな部分を言い出したらキリがありません。
2.SRS(性別適合手術)で変化したこと【メリット①肉体と精神の安定】

私はSRSを受けたことで人生が変わりました。
※この言葉は手術を受けることを助長しているわけではありません、あくまで私個人の感想です※
どのように変わったかというと以下の3点です。
- 肉体的に望む体を手に入れた
- 精神的ストレスから解放
- 結婚できるようになった
2-1.肉体的・精神的ストレスから解放
これは私の人生において一番大きい変化だと思います。人生が180度変わったと言ってもいいくらいです。
まず肉体的な問題と精神的なストレスについてはイコールだと思うので、肉体的な問題が解決された時点で必然的に精神的ストレスもなくなります。
解決された問題は何か・・・
『女性的な胸がなくなった』
『全摘で子宮卵巣がなくなった』
この2つです。(手術の内容については別記事で説明します)
記事の最初に書いたコンプレックスの2つが解消できました。感無量です!!
2-2.愛すべきパートナーとの結婚ができるようになった
これは私にとってもパートナーにとっても人生の一大イベントになります。
私のようなFTMが女性のパートナーと結婚するためには、超えなければならない壁があります。
なぜなら、FTMと言っても出生時の性別は“女性”であり戸籍の性別も“女性”になっています。
もちろん現在の日本では同性婚が認められていないため、女性との婚姻関係が認められるのは“男性”だけになっています。
私のパートナーは“女性”であるため、私は“男性”の性別でなければ結婚は認められないのが実情です。
まず戸籍の性別を変えるための条件を満たす必要があり、それは以下のような法律が定められています。
(性別の取扱いの変更の審判)
第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に子がいないこと。
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
※性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 一部抜粋
そのため私はSRSを受け現在に至ります。
今現在(2020/8月)は戸籍上の性別をまだ変更できていないため結婚はできない状態ですが、2021年にはこのブログで結婚の報告ができればと考えております。
3.SRS(性別適合手術)のその後【メリット②自然と前向きになれる】

悩みを抱える人にとって、一つ一つの悩みを解消できれば人生の生き方は楽になります。
私の場合はSRSを受けたことで
- ナベシャツを着なくていい
- 胸を張って歩ける、Tシャツ一枚で過ごせる
- 不快指数ゼロ
こんな些細なことでも私が観える世界はとても大きく変わりました。
3-1.ナベシャツを着なくていい
ナベシャツはFTMにとってはとても重宝するパスグッズです。
しかし、なくてもいい物ならなくしたいですよね。
私の場合ナベシャツを着るという行為は、“鎧を着る”感覚に似ていました。
もちろん物の重さ的には全然軽い物ですが、気持ちの部分で「ナベシャツを着る=防具を付けて外敵(周りの視線)から身(心)を守る」という感じでした。
他にも胸を潰す・締め付けることで少し息苦しさがあったり、肌が荒れたり(人それぞれ)など小さいことですがデメリットも少なからずありました。
ナベシャツから卒業できたことで私が“自信”を持てるようになれたのは間違いありません。
3-2.胸を張って歩ける・Tシャツ1枚で過ごせる
ナベシャツを卒業できたことで身につけるものが1つ減ったというのはとても大きな変化でした。
手術前までは胸のふくらみを隠すために肩を丸め猫背の姿勢が当たり前でしたが、現在では自然と姿勢が治り胸を気にして過ごすこともないので、本当に気持ちの面では楽になりました。
また若い頃から夢見ていた“シャツ1枚で過ごす”ことができるようになり、
手術後に胸の膨らみがない状態で着衣に袖を通し、1日を過ごした時の感動は今だに忘れられません。
感動と同時に、「やっと・・・」という安心感もありました。
3-3.不快指数ゼロ
手術によって胸の膨らみもなくなりましたが、約23年間お付き合いしてきた月経ともお別れできました。
女性特有の症状のものなので、その辛さや大変さは十分に理解できます。
その症状の時は痛みもヒドいし、体調も崩しやすいし、準備物(荷物)も増えるし、後処理も面倒だしと色々と大変ですよね。
私の場合その全てが不快指数MAXの苦痛で耐えられませんでした。
そんな苦痛から解放されれば人間は誰しも穏やかになるものです。
4.SRS(性別適合手術)のデメリット【決断は慎重に】

ここまでSRSに関してメリットを書いてきましたが、良いことの裏には必ずデメリットもあります。
以下では私個人が思うデメリットですので、SRSの内容や価値観など人によりデメリットは異なります。
<<私がSRSについて最も伝えたいデメリット5つ>>
- 危険が伴うという意識が必要
- 術後の傷痕が残る
- 術前に比べ生存率が変わる
- 周りに不安を与え心配させてしまう
- 大金がかかる
4-1.危険が伴うという意識が必要
危険が伴うと聞くと怖くなりますよね。怖くなって当然なんです。
身体にメスを入れるということは、それだけの覚悟は必要だと思います。
実際に国内外の手術事例でも、手術の失敗や修復不能など最悪の場合、死に至るケースもあります。 ※手術の内容により異なります
ご自身でしっかり調べた上で手術を受けるかどうか、どんな手術を受けるのか判断することをお勧めします。
いかなる理由でも“危険が伴うという意識”がとても大事になります。
4-2.術後の傷痕が残る
これも術式や身体の状態(形)によって様々です。
私の胸は少し大きいサイズで形も垂れ気味だったので、傷痕が大きく残ってしまう術式のため、現在でも胸の傷痕は大きく残っています。
腹部については切開しない術式だったので傷痕はほとんど残っていません。
(手術内容・術式については別記事で詳しく説明します)
やはり傷痕は人に見られたくないので、海水浴やプール・人前で服を脱いだり(着替え)はできないです。
4-3.術前より生存率が変わる
こちらに関しては医学的根拠はありません。私の主観的な意見ですので、どうか真面目に捉えないでいただけると幸いです。
私の意見では、単純に身体にメスを入れることをする訳なので、元の身体の状態を保てないだろうという意見です。
あと私は卵巣を摘出したことにより体内でホルモンを生成できなくなってしまったので、ホルモンのバランスを保つため“ホルモン注射(ホルモン治療)”を定期的に行っております。
どうしても外部から体内に薬を取り入れなければならないので、必ず“副作用”というのは発生してしまいます。(ホルモン治療についての記事も後ほど書きます)
4-4.周りに不安を与え心配させてしまう
人は誰しも1人で生きているわけではありません。
あなたのことを心配している人は必ずいます。親や兄妹・恋人・友人・主治医など多くの人から支えられ今があることと思います。
手術は危険やリスクを伴う可能性があります。
本人が一番不安に思うかもしれませんが、あなたと同じもしくはあなた以上に周りの人たちは、不安に思い心配しているはずです。
もし周りに相談できる人がいるならば、手術について少しでも話し合いを持つのも良いかもしれません。
4-5.大金がかかる
手術の内容・受ける場所にもよりますが、決して安い金額で手術をできるわけではありません。
おおよその相場は約70万〜200万円と言われています。
しかし現在国内の病院(クリニック)では保険が適用されるところもあり、以前よりは比較的安く手術できるようになったかもしれません。
それでも3割負担なので、10万円超〜になります。
この保険適用にはいくつかの“条件”がありますので、必ず確認してから判断するようにして下さい。
引用元:GID学会
5.自分らしい生き方とは・・・【ありのままの姿を見つけよう】

ここまで読んでくださりありがとうございます。
この記事では、手術で悩まれている人や自分らしい生き方を探している人にとって、少しでも選択の参考になればと思っています。
手術に関しては本人の意思が最も重要であり、人生の選択においてその後の運命を大きく変える出来事になると思います。
もちろん、手術だけが全ての当事者にとって正しい生き方や選択というわけでもありません。
最後に、“あなたの人生はあなただけのもの”です。
自分らしく・自分に素直に、一度きりの人生ですから精いっぱい楽しく自由に生きていきましょう!